アメリカは、世界からの移民とその子孫、そして少数の先住民によって構成されているため、人種、出身国、宗教、教育レベル、職業、収入ランクなどによって、生活習慣や冠婚葬祭のマナー、エチケットが異なる場合があります。ここでは、一般的なアメリカの習慣を紹介していますが、異なる場合はその場のしきたりを尋ねてみてください。アメリカへの理解がより一層深まることでしょう。

1. チップ事情

アメリカでは日本と異なりサービスは無料ではありません。また、見返りを期待せず、客への徹底したサービスを提供する習慣もありません。よって日本で受けるごく普通のサービス、もしくはそれ以上の親切な扱いを受けた場合にはチップを渡す必要があります。 チップとは受けたサービスに対する感謝の気持ちをお金で表したもので、通常合計金額の15~20%を渡します。しかし受けたサービスに満足がいかない場合、チップを減らしたり渡さなかったりすることもできます。その場合不満を言われることがあるかもしれませんが、その際にはきちんと理由を伝えましょう。

例外

チップを渡してはいけない人

税関職員、警察官、公的機関の窓口等の公務員にはチップを渡さないこと。公務員に対するチップは賄賂にあたり、法律で禁じられています。

チップを渡す必要のない人

キャビンアテンダント、航空会社の地上職員、ホテルのフロント、劇場・映画館の案内係、工事・メンテナンスの人、宅急便の配達人、家具や電化製品の配達人、スーパーマーケットの店員等。

チップを渡す必要のない場所

公共機関やセルフサービスの場所。例えば、ファーストフード店のようにキャッシャーで注文し、自分で後片付けまでするようなレストランやカフェではチップを渡す必要はありません。

チップの渡し方

チップは基本的にお札の意味ですが、人目につかないようにするのがエチケットです。例えば、手の中に折り畳んだお札を握りしめておき、何かしてもらった後に "Thank you." と言ってそっと手渡したり、握手をする手の中で渡します。小銭でチップを渡すのは失礼にあたります。ただしレストランは例外で、小銭でチップを渡すことができます。

空港にて

インフォメーションデスクの案内係

シャトルバスの予約やタクシーを呼んでもらっても、チップを渡す必要はありません。しかし、バスやタクシーまで荷物を運ぶのを手伝ってもらった際にはチップを渡します。荷物1つにつき1ドルが目安です。

シャトルバスドライバー

ドライバーが荷物の上げ下ろしを手伝ってくれた場合にはチップを渡します。荷物1つにつき1ドルが目安です。

タクシードライバー

車内で料金を払う時、またはトランクから荷物を下ろしてもらった後にチップを渡します。チップはメーターの金額の15%が目安ですが、荷物を運んでもらった場合には、さらに荷物1つにつき1ドルを目安に渡します。チップ用の小額の現金を持っていない場合は、例えば20ドル札を渡して "Three dollars back, please." (3ドルお釣りをください)と言ってお釣りの金額を指定することができます。クレジットカードで支払う場合には、伝票のTip(チップ)の欄に金額を書き込みます。

Uberの場合は?

近年ではタクシーよりもUber(一般人が空いた時間を利用してタクシー運転手のような仕事を行い、スマホアプリを通じてマッチングした利用者が乗車するというライドシェアリングサービス)を使う局面が増えています。Uberの場合は、アプリを通じてチップを支払うことができます。

ホテルにて

ドアマン

高級ホテルでは、ホテルに着くとドアマンが玄関からロビーまで荷物を運んでくれます。荷物を運び終わったらチップを渡します。荷物1つにつき1ドルが目安です。また、タクシーを呼んでもらった場合にはチップを1ドル渡します。ドアを開けてもらう程度ではチップを渡す必要はありません。

フロントデスク

チップは必要ありません。

ポーター

ポーターが玄関から部屋まで荷物を運び終わったらチップを渡します。荷物1つにつき1ドルが目安です。

デリバリー

用事があって部屋にホテルのスタッフを呼んだり、物を届けてもらったりした場合には、帰り際にチップを1ドル渡します。ただし、部屋にあるべき設備(例:歯ブラシやタオル)がなかった場合や、部屋の設備に故障があり、人を呼んだ場合にはチップを渡す必要はありません。

ルームサービス

合計金額の15~20%をチップとして上乗せします。ただし、メニュー表に“Including Service Charge.(サービス料込み)”と書いてある場合や、伝票にサービス料が含まれている場合はチップを渡す必要はありません。分からない場合は、ルームサービスを運んで来てくれた人にサービス料が含まれているかどうかを確認しましょう。

ルームメイド

留守にしている間にベッドメークや部屋の掃除をしてくれたお礼として、朝出かける前とチェックアウトをする前に、ベッドのサイドテーブルもしくは化粧ダンスの上にチップを置きます。宿泊者一人当たり1回の掃除につき1ドルが目安です。部屋が散らかっている場合には2~3ドルに増やします。 ルームメイドは客の持ち物がなくなることに対して神経を配っているため、置いておくお金がチップであると分かるように置きましょう。Thank you.と書いたメモを添えておくのもいいアイディアです。

クローク

ホテル内のレストランに行く時や外出する時に手荷物を預かってくれるクロークには、荷物を受け取る時にチップを渡します。カバンやコートの場合は1点につき1ドル、大きなスーツケースの場合には1点につき2ドルが目安です。

コンシェルジュ

高級ホテルではロビーにコンシェルジュがおり、宿泊客からのさまざまな疑問・要望・トラブルに対応します。簡単な質問に答えてくれた時にはチップを渡す必要はありませんが、レストランやチケットの予約をしてもらった時には5~10ドル程度を渡します。入手困難なチケットを取ってもらった時には10~30ドル程度を渡します。

レストランにて

ウェイター、ウェイトレス

注文から後片付けまで自分でするファーストフードやカフェでは、チップを渡す必要はありません。それ以外のレストラン(ビュッフェも含む)では、自分のテーブルを担当しているウェイターもしくはウェイトレスにチップを渡します。朝食やランチの場合は合計金額の約15%、ディナーの場合には20%程度をチップとして渡します。また、レストランでテイクアウト(アメリカでは "To go." と言います) の注文をする場合にはチップを渡す必要はありません。
通常、勘定書きと一緒に現金をテーブルに置いて席をたちます。勘定書きがバインダーのようなものに挟んであれば、そのバインダーの中に現金を入れてテーブルに置きます。屋外などで現金を置いていくのが心配な場合には、ウェイターやウェイトレスを呼び、"Keep the change. " (お釣りはとっておいてください) と言って、お釣りはチップであることを伝えます。もしくは、ウェイターやウェイトレスの方から"Do you need the change?"(お釣りは必要ですか?)と聞いてきた場合、もしその額がチップ込みの金額であれば、"No, I don’t." (いいえ、結構で)と答えます。

大きな紙幣しか持っていない場合

大きな紙幣しか持っておらず、お釣りが必要な場合には、"Do you need the change?"(お釣りは必要ですか?)と聞かれた時に、"Yes, please." (お願いします) と答えます。そして、お釣りの中からチップをテーブルに置いて席をたちます。また、何も聞かれない場合でも、そのまま座っているとお釣りを持ってきてくれますが、万一持ってきてくれない場合は、"Could you please bring the change?"(お釣りを持ってきてくださいますか?)とお願いします。

クレジットカードで支払う場合

クレジットカードで支払う場合、チップもクレジットカードで払うことができます。ウェイターやウェイトレスがクレジットカードを取りに来た後、しばらく待つとクレジットカードと一緒にレシートが挟まれたバインダーを持ってきます。バインダーには2枚のレシートが重なって入っており、上が店の控えで、下が客の控えになっています。複写式の場合は重ねた状態で記入し、複写式でない場合はそれぞれに記入します。レシートには、TIP もしくは GRATUITY(チップ)、TOTAL (合計)、SIGNATURE (署名) という欄がありますので、TIPの欄に金額を記入し、TOTALの欄に代金とチップの合計金額を記入し、SIGNATUREの欄にサインをします。記入が終わったら客の控えをとり、店の控えをそのままバインダーに残して席をたちます。金額を記入する際には、数字の前に必ず$を付けましょう。また、テイクアウトでチップが必要ない場合にも、TIPの欄に$0と記入し、合計金額を記入しましょう。これらはレシートの改ざんによる不正請求を防ぎます。

その他

バレーパーキング(Valet Parking)

車で店の前まで乗り付けると代わりに駐車してくれるバレーパーキングの際は、帰りに車を受け取る時にチップを渡します。チップが表示されている場合もありますが、そうでない場合にはいくら渡したらよいか尋ねましょう。2ドル~4ドルが目安です。

宅配サービス

ピザなどを注文して部屋に届けてもらった場合、合計金額の15%程度をチップとして渡します。

ヘアサロン

会計をする時に担当者した人にチップを渡します。クレジットカードで払う場合には、チップ分を上乗せして払います。合計金額の15~20%が目安です。

2. 公衆トイレ事情

アメリカでは、公衆トイレを見つけるのは難しいかもしれません。お店やオフィスでは、防犯上の理由からトイレを開放していません。場所によってトイレを使うのに、カギ、暗証番号、コイン、トークン(代用コイン)が必要な場合があります。
トイレの場所が分からない時には、
"Excuse me. Where is the restroom ? " (すみません。トイレはどこでしょうか?)
"May I use the restroom? " (トイレを使わせて頂いてもよろしいですか?)などと尋ねましょう。

3. 食事事情

アメリカの食べ物の特徴を言えば、「量が多い」「油っぽい」「野菜が少ない」「甘い」。その上、一部の商品除くと、合成着色料や保存料をはじめとする化学物質がたっぷり使われています。これらの食事を取り続けると、太るばかりではなく体調に支障をきたす可能性があります。留学の目標を達成するためにも、体に入れるものを賢く選びベストコンディションを保つよう努めましょう。

注意!!

  • 好きな物を好きなだけ食べられるバッフェスタイルのカフェテリアでは、バランスよく食事を取り、食べ過ぎには注意すること。
  • 脂っこい食べ物はなるべく避け、サラダ、温野菜、野菜ジュースなど、野菜を摂取するよう心がける。
  • 甘い飲み物や食べ物を常時取る習慣は止める。勉強しながらの軽食・夜食には体に良い物、例えば塩分が多くて脂っこいスナックよりも、シリアルや果物を選ぶ。
  • 毒々しい色のついたお菓子やドリンクは避ける。

4. 日米の時差

それぞれ日本のほうが先に進んでいます。航空便に乗る際などは、出発地と到着地の時間帯で表記されていますので注意しましょう。

夏時間(サマータイム)

アメリカでは、サマータイムのことを "Daylight Saving Time" と言います。3月の第2日曜日午前2時~11月の第1日曜日の午前2時までの間の、日の出時刻が早まる時期に太陽の出ている時間帯を有効利用する目的で、時計を標準時よりも1時間早めて生活する制度です。

名称日本との時差(夏時間)
Eastern Time(東部時間)-14時間(-13時間)
Central Time(中部時間)-15時間(-14時間)
Mountain Time(山岳部時間)-16時間(-15時間)
Pacific Time(太平洋時間)-17時間(-16時間)

5. アメリカの祝祭日

1月1日:New Year's Day(元日)
1月第3週の月曜日:Martin L. King, Jr.'s Birthday(キング牧師誕生日)
2月第3週の月曜日:Presidents' Day(大統領の日)
春分後の最初の満月の週の日曜日を含めた一週間:Easter(イースター)
5月最終週の月曜日:Memorial Day(戦没将兵追悼記念日)
7月4日:Independence Day(独立記念日)
9月第1週の月曜日:Labor Day(労働祭)
10月第2週の月曜日:Columbus Day(コロンブス・デイ)
11月11日:Veterans Day(復役軍人の日)
11月第4週の木曜日:Thanksgiving Day(感謝祭)
12月25日:Christmas Day(クリスマス)

6. 衣料品、靴などのサイズ

ドレス・スーツ(女性)

アメリカ日本
29
411
613
815
シャツ首周り(男性)
アメリカ日本
3514
3614.25
3714.5
3815
3915.5
4015.75
靴のサイズ
アメリカ日本
4.522.0
5.022.5
5.523.0
6.023.5
6.524.0
7.024.5
7.525.0
8.025.5
8.526.0
9.026.5
9.527.0
10.027.5
10.528.0

7. メートル等、度量衡の換算表

英語では"Metric Conversions"と言います。日本とは異なる単位が多いため、なるべく早く覚えて慣れましょう。

8. カルチャーショック

今まで慣れ親しんだ環境とは異なる新しい文化・環境に適応しようとする過程でおこる心理的ショックに、カルチャーショックと呼ばれるものがあります。カルチャーショックを感じる程度には個人差はありますが、異文化に接した際には誰にでも起こりうることと考えて、状況を客観的に見るように努めましょう。

症状の例

  • 孤独感、倦怠感
    いくら寝ても眠い。
  • 極度なホームシック
    日本の家族や友人のことを考えると泣いてしまったり、考えること自体を止められなかったりする。
  • 日本人への依存心
    日本人ばかりと固まり、日本人に頼りすぎる傾向が強くなる。
  • 不安感
    うまくやっていけるだろうかとアメリカでの学業に不安になったり、現在自分が行っていることに対して不安を感じるようになる。
  • 英語に対する拒否反応
    英語に自信がなくなり、英語を使うことを避けたり、英語で話さなければならない人をも避けたりするかもしれない。
  • アメリカに対する怒りの気持ち
    些細なことで怒りの感情を抱き、その程度も過度となる傾向がある。

克服法

自分が変だと感じること、難しいと感じること、混乱したり悩んだりしたことについて、どうしてそう感じたのか、その理由を考えてみましょう。自分に合った気分転換法を見つけることも大切です。米国について積極的に学ぶのもよいでしょう。自分の価値観を判断基準にしないことを心がけ、大きな気持ちで臨むとよいでしょう。NCNアドバイザーに相談し、大学のカウンセラーといった専門家と話してみるのも一つの解決方法です 。