1. 新卒採用と既卒(中途)採用

新卒採用の“新卒”とは、大学を新たに卒業する学生のことを指します。
日本では、ほとんどの企業が毎年新卒採用計画に基づき、特定の時期に採用活動をしています。企業ごとの応募受付期間に合わせて応募をしないと、たとえ優秀で実力があったとしても、原則としてその後の選考過程に入ることができません。また応募条件の中に、年齢制限を設けている企業もあることから、授業の履修計画をきちんと立て、早い時期から就職に対しての周到な準備を始めることが大切です。

日本における新卒採用は、学生が潜在的に持っている入社後の可能性を評価する“ポテンシャル採用”という方針で総合職として採用する場合が主流で、アメリカの即戦力として期待する職種別採用(後述)とは大きく異なります。
基本的には、技術系職種や一部の文系職種を除いては専攻不問とし、入社後に新入社員を育てるという風土があり、会社の将来を担う優秀な人材を確保しようと、多くの企業で毎年新卒枠を設け採用を行っています。
このため、コンピュータサイエンス専攻だからコンピュータ業界、音学専攻だから音楽業界、財務専攻だから金融業界にしか就職できないと考える必要は全くありません。専攻は企業選択の重要な要素ですが、実際に自分の適性や将来の夢も企業選択の考慮に入れ、就職活動を行うとよいでしょう。
実際に、多くのNCNの先輩も、幅広い視野を持って専攻と直接関連しない他の業界に就職しています。

一方、いったん大学を卒業してから就職活動を行う場合は、職務経験者を対象とした既卒(中途)採用に応募することになります。新卒採用に比べると企業数・採用人数共に非常に少ないうえに、職種も限られ、即戦力としての職務経験や資格が問われるために、かなりの実力が必要です。

このことから、将来の方向性を考えながら自分の適性を踏まえたうえで、全ての職種が対象になり、さらに多くの企業に応募できる新卒の就職活動は人生の中で1度しかない大きなチャンスであると言えます。

2. 企業の採用制度

新卒の採用時期は、春の定期採用、秋の定期採用、通年採用の3種類があります。
近年、秋の定期採用や通年採用を取り入れる企業が増えていますが、依然主流を占めるのは春の定期採用です。このため、志望企業の入社日を確認のうえ、卒業時期を調整した就職活動が必要になります。

春の定期採用

国内企業の大半では4月1日に入社式を行ったのち、新入社員は研修を受けます。この理由から企業は4月入社を求めますが、企業の中には、留学生に対して例外的に6~10月入社の便宜を図ってくれるところもあります。
ただし、これはあくまで特別措置なので、志望企業の入社日を事前に確認することが必要です。
4月入社を原則としている企業を受験する場合は、前年の春学期終了と同時に日本に帰国して就職活動を行い、その年の12月に卒業することになりますが、もともと5月卒業で履修をしてきた場合は、春学期を休学して就職活動にあてて卒業を半年後にするか、もしくは休学をしない場合は1学期あたりの履修単位を増やして卒業を半年早める、または履修単位を減らして卒業を半年遅らせるといった、卒業時期の12月への調整が必要となります。

夏/秋の定期採用

春の定期採用を行っている企業の中には、夏/秋にも定期採用を行い、春に活動できなかった留学生や国家試験・公務員受験者、第2新卒者(大学卒業後2~3年の人)等に受験機会を与えている企業もあります。これらの企業の多くが7月から9月にかけて選考のピークを迎えます。
選考基準や選考方法は、春の定期採用と変わらない企業がほとんどですが、春の定期採用に比べて採用人数が少ないのが一般的であり、企業によっては募集職種も限られてきます。入社時期は4月入社の他に10月入社を設けている企業もあります。

通年採用

定期的な入社日を設けず、年間を通じて採用を行い、新入社員研修についても適宜実施されます。現在、留学生を対象に通年採用する企業は徐々に増えてきてはいますが、全体から見るとまだ少数派です。

3. 就職活動時期

通常の場合

アメリカ在住の日本人留学生は、4年生(Senior)の春学期終了直後(その年の12月卒業予定者)、または3年生(Junior)後期の春学期終了直後(翌年の5月卒業予定者)に、日本での就職活動の本番を迎えます。春学期終了後は直ぐに日本へ帰国し、より多くの企業説明会に参加しましょう。
1日でも時間を無駄にしないことが、就職活動を成功させるための鍵です。

春学期を休学する場合の注意事項

5月以降の日本帰国では受験に間に合わない業種や企業(マスコミ関連等)を中心に受験するためには春学期を休学して就職活動にあてる必要があります。
春学期を休学する場合は、春学期にしか履修できない授業もあるので、履修科目のスケジュールを早めに確認しておくことが必要です。また学生ビザについても、就職活動のためにアメリカを離れている期間が5ヶ月以上にわたる場合、基本的には新たにI-20を取得し学生ビザを再申請しなければなりません。休学をする場合は、事前に留学生オフィススタッフとの確認が必要です。
ビザの申請が遅れたために卒業時期が延び、内定が取り消されることのないよう、最大の注意を払いましょう。

注意!!

業界の採用時期、ビザの手続きの規定などは、変更となる可能性がありますので、事前にしっかりと調べるようにしましょう!

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